パグは、くりっとした大きな目と表情豊かな顔で愛される短頭種。平均寿命は12〜15歳と、短頭種としては比較的長め。でも鼻が短い分、呼吸器に負担がかかりやすく、目が突き出ているので角膜のトラブルも起きやすい犬種です。この記事では、パグの寿命・かかりやすい病気・シニア期のケアを、できることベースでまとめました。
この記事でわかること
上から順に読まなくて大丈夫。気になるところからどうぞ。
パグの平均寿命と最高齢
パグの平均寿命は約12〜15歳。短頭種の中ではフレンチブルドッグより長めで、犬全体の平均と近い水準です。
主な調査での数値
- アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2023」:12.8歳
- 東京大学の犬の寿命研究(2024年公表)でも近い数値が示されています
- パグの最高齢記録:19.0歳(複数の調査で報告)
短頭種としてのパグの位置づけ
はっきり解明されているわけではありませんが、パグの寿命に関わる要素として、次のようなことが知られています。
- 短頭種である:鼻が短く、呼吸器に負担がかかる構造(暑さ・興奮で呼吸困難になりやすい)
- 目が突出している:角膜に傷がつきやすく、眼科疾患が起こりやすい
- 太りやすい:食欲旺盛で運動量は控えめ、肥満が呼吸器に追い打ちをかける
- 顔のシワ:シワの中が蒸れて皮膚疾患の原因になる
シニア期はいつから?(短頭種の2段階)
パグは小型〜中型犬の区分に入りますが、短頭種なので老化はやや早めです。シニア期には「中高齢期」と「高齢期」の2段階があります。
| 段階 | 年齢の目安 | 体の状態 | 意識すること |
|---|---|---|---|
| 中高齢期(入り口) | 6〜7歳ごろ〜 | 見た目は元気・代謝と呼吸の余力が落ち始める | 予防ケア開始(健診頻度・体重・暑さ対策・目のチェック) |
| 高齢期(いわゆる老犬) | 10〜11歳ごろ〜 | 呼吸や眼のサインが見え始める | 環境整備(涼しさ・静けさ・段差対策)・介護を視野に |
※短頭種のパグは、小型犬より1歳ほど早めの読み替えが目安です。「7歳から」と思っていても、6歳の時点で予防意識を持ち始めると安心です。
シニア期の2段階定義について詳しくは、柱記事「シニア犬は何歳から?|7歳と11歳、2つの節目でできること」でまとめています。短頭種は1歳ほど早めに読み替えるのがコツです。
★パグがかかりやすい病気とサイン
パグには短頭種・目突出という体の特性に由来する注意疾患があります。とくに呼吸器と目の2つは、毎日のサイン観察が効きます。
1. 短頭種気道症候群・気管虚脱(★呼吸・最優先)
パグの体質的に最も注意したい疾患。鼻の穴が狭い・のどの奥がふさがり気味・気管が細いなど、生まれつき空気の通り道に負担がある状態を指します。シニア期に入ると、若いころは平気だった暑さや興奮で、呼吸困難を起こしやすくなります。
- いびき・ガーガー音が大きい、寝息が荒い
- 暑くないのに呼吸が荒い(ハッハッが止まらない)
- 興奮・遊んだあとに呼吸が苦しそうになる
- 歯ぐきや舌が紫っぽくなる(チアノーゼ)
- 失神する瞬間がある(緊急サイン)
毎日の予防の柱は次の3つです。
- 暑い日の散歩を避ける(朝晩の涼しい時間に短く・夏は無理しない)
- 興奮しすぎない遊びに切り替える(短頭種は息切れしやすい)
- 首輪からハーネスへ(気管の圧迫を避けるため)
咳・呼吸のサインは老犬の咳・呼吸で詳しくまとめています。
2. 眼疾患(★目突出・角膜傷リスク・厚め)
パグは目が大きく前に突き出ている構造のため、角膜(黒目の表面)に傷がつきやすい犬種です。家具の角・草・自分の前足など、ちょっとした接触で角膜潰瘍を起こすことがあります。シニア期にはドライアイや白内障も加わり、目のトラブルが慢性化しがちです。
- 涙が多い、目の下が常に濡れている
- 目が充血している、白目が赤い
- 目を前足でこすろうとする、気にして触る
- 目の表面が白く濁る・部分的に曇る
- まばたきが多い、目をしばしばさせる
- 暗いところでぶつかる、段差につまずく(視覚低下)
3. 皮膚疾患(顔シワの中のケア)
パグの愛らしい顔のシワは、内側が蒸れて皮膚炎を起こしやすい場所です。マラセチアや細菌性皮膚炎が慢性化しやすく、シニア期は免疫が落ちて悪化することもあります。
- 顔のシワから独特のニオイがする
- シワの中が赤い・湿っている
- シワを気にして前足でこする
- 体や脇の皮膚が黒ずむ・かさつく
1日1回、柔らかい布や専用のウェットシートで顔のシワをそっと拭く習慣があると、ぐっと予防できます。強くこする必要はなく、軽くなぞる程度で十分です。
4. 歯周病(顎が短い)
パグは顎が短く、歯が密集して生えるため、歯垢が溜まりやすい構造。歯周病はシニア期に進みやすく、痛みで食欲が落ちる原因にもなります。
- 口臭が強くなった
- 歯ぐきが赤い、腫れている
- 固いものを噛むのを避ける、片側で噛む
- よだれが多い、口を気にする
歯磨きは「毎日できれば理想、できなくても週数回」で構いません。動物病院での歯石チェックを年1回入れておくと安心です。
5. 肥満
パグは食欲旺盛で運動量は控えめ。短頭種で激しい運動が苦手なため、気づくと太りがちです。肥満は呼吸器・関節・心臓のすべてに負担をかけるので、シニア期はとくに体重管理が重要です。
- 上から見てウエストのくびれがなくなった
- 肋骨が触れにくい、お腹が下に垂れている
- 少しの運動で息切れする
- 呼吸音(いびき・ハッハッ)が以前より大きくなった
体重管理は呼吸器ケアと表裏一体です。月1回の体重チェックをルーティンにすると、変化に気づきやすくなります。
老化のサインに気づく(パグ固有)
パグは見た目の表情が豊かな分、老化のサインが顔に出やすい犬種です。毎日見ているからこそ気づきにくい変化を、ここでまとめておきます。
体の変化
- マズルの白さ:黒い顔のパグは、口まわりや眉の白い毛がよく目立つようになる
- 体重の変動:太りやすくなる、または食欲が落ちて痩せてくる
- 筋肉量の低下:後ろ足が細くなる、お尻が落ちる
- 目のサイン:表面が白く濁る、涙が増える、まばたきが多い
- 顔のシワ:たるみが増え、シワの内側が深くなる
行動の変化
- 散歩のスピードが落ちる、途中で立ち止まる
- 寝ている時間が増える、呼んでも起きにくい
- 段差を嫌がる、ソファに登らなくなる
- 遊ぼうとして息切れする時間が早くなる
- 呼びかけへの反応が鈍くなる(聴覚低下の可能性)
★パグならではのサイン
短頭種・目突出のパグならではの、見逃しやすいサインです。
- いびきが大きく、長くなった(呼吸器の負担増の予兆)
- 暑くないのにハッハッが止まらない(呼吸の余力低下)
- 目を気にして前足でこする頻度が増えた(眼疾患の予兆)
- 顔のシワからニオイが出てきた(皮膚炎の予兆)
- 固いものを噛むのを嫌がる(歯周病の予兆)
「老化のサインの全体像」は、柱記事「シニア期の時系列マップ」でも整理しています。短頭種は1歳早めに読み替えてください。
目と呼吸を守る毎日のケア
パグは呼吸器と目の2つを丁寧に守るのが、長くいっしょにいるための鍵。といっても、完璧を目指さなくて大丈夫。できる範囲で十分です。
1. 体重管理(呼吸器の負担を減らす)
パグは「太ると呼吸器・関節・心臓のすべてに負担がかかる」体型です。理想は「上から見てウエストがくびれて見える」「肋骨を軽く触れる」。月1回の体重チェックをルーティンにすると、変化に気づきやすくなります。シニア期は若いころより必要カロリーが落ちるので、フードの量を見直すのも有効です。
2. 滑らない床材と段差対策
フローリングのまま走り回るのは、足腰への負担。リビングの動線にカーペットやマット、毛足の短いラグを敷くだけで、関節への衝撃が大きく減ります。ソファや玄関の段差にはスロープがあると安心です。詳しくは老犬の足腰が弱ってきたらへ。
中型犬は体重があるため、床材にも一定の厚みや面積が求められると言われます。広めに敷ける防滑マットを選ぶ選択肢があります。
3. デンタルケアと顔のシワケア
歯磨きは「毎日できれば理想、できなくても週数回」で十分。あわせて、1日1回、顔のシワを柔らかい布でそっと拭く習慣があると、皮膚炎の予防になります。両方とも、強くこする必要はなく、軽くなぞる程度で構いません。
歯ブラシを嫌がる子には、シートタイプや液体タイプという選択肢もあります。無理せず続けられる形を、うちの子との相性で選ぶという考え方も。
4. 半年に1回の健康診断(6歳から)
短頭種のパグは6歳から半年に1回のペースが目安。血液検査で内臓の状態を、年1回は心臓と気道の状態も診てもらえると、呼吸器疾患の早期発見につながります。目の様子も健診のタイミングで一緒に診てもらうと安心です。
5. ★呼吸器ケア+目の保護(パグ固有スロット)
これがパグの最重要ケアです。呼吸器と目の2つを、暮らしの中で守ります。
呼吸器を守る毎日の工夫:
- 暑い日の散歩を避ける(夏は朝晩の涼しい時間に短く・気温25度を超える時間は外に出ない)
- 室内の温度・湿度を一定に保つ(夏は冷房・冬は乾燥対策)
- 首輪をハーネスに切り替える(気管への圧迫を回避)
- 興奮しすぎる遊びを長く続けない(短時間に分ける)
目を守る毎日の工夫:
- 家具の角・尖ったものから目を遠ざける(コーナーガード活用)
- 散歩中、草むらに顔を突っ込ませない
- 1日1回、目の周りが汚れていないかそっとチェック
- 充血・涙の増加・しょぼしょぼに気づいたら、その日のうちに受診
元気な”いま”を、残しておく
パグの12〜15年は、シニア期も含めれば長い時間。「もっと撮っておけばよかった」——そう感じる前に、元気ないまの姿を残しておくのはどうでしょう。
元気なうちに残せること
- 顔のアップだけでなく、足のクローズアップや肉球も
- 寝顔・あくび・ふだんの仕草こそ宝物
- 声を録音した動画(呼ぶ声、いびき、寝息)
- 毎月1日に「今月の1枚」を決めて撮る、というルーティンも
- シワごとの表情・くりっとした目のアップ(パグならではの愛らしさ)
「形」に残すという選択肢
写真の延長として、絵や肖像画として残す選択肢もあります。鉛筆画・水彩画・似顔絵——元気なうちにオーダーすれば、あの子の表情豊かな顔や眼差しを、専門家の手でじっくり残してもらえます。
もちろん「やる/やらない、両方正解」。形にしなくても、あなたの中の記憶は色褪せません。「選択肢として知っておく」だけで、いつかの選択がしやすくなります。生前メモリアルについては別記事(今後公開予定)でも扱います。
表情豊かなパグだからこそ、目と呼吸を守る
パグは、12〜15歳という時間を、表情豊かに共にしてくれる犬種。目と呼吸を守る毎日が、長くいっしょの時間につながります。
体重管理・滑らない床・デンタルケアと顔シワ・健診・呼吸器ケアと目の保護——書き出すと多く見えますが、ぜんぶを完璧にやる必要はありません。今日できることを、ひとつだけ。それが数年後の「いっしょにいる時間」を、少しだけ伸ばしてくれます。
慌てず、肩の力を抜いて。シニア期は、関係がいちばん深まる時間でもあります。柱記事「シニア犬は何歳から?」と合わせて、あなたのペースで読んでみてください。
参考・出典
- 平均寿命:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2023」12.8歳
- 東京大学の犬の寿命研究(2024年公表)の言及あり
- パグの最高齢:複数の調査で報告された19.0歳
- 短頭種気道症候群(BOAS)・眼疾患:複数の獣医療資料を参照
- かかりやすい病気・サイン:複数の獣医師監修記事および動物病院の一般情報を参照
- シニア期の2段階定義:柱記事「シニア犬は何歳から?」を参照(短頭種は1歳早めに読み替え)
- 情報は変わっていく可能性があるため、特定のURLは掲載していません。具体的な症状・治療・ケアの判断は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。