老犬のてんかん・発作|原因と、命に関わるサイン

鉛筆画調のシニア犬イラスト(老犬のてんかん・発作|原因と、命に関わるサインのアイキャッチ)
この記事でわかること

上から順に読まなくて大丈夫。気になるところだけどうぞ。

「発作を起こした」「またけいれんしている」と、強い不安のなかで検索された方も、いらっしゃるかもしれません。発作は見ていて怖く、ご家族の心も削られていきます。最初に大事なことだけ言うと——シニア犬の発作は、若い犬の発作とは原因の傾向が違うことがあります。背景にある病気を見つけて、長く穏やかに付き合っていくための情報を、順番に整理します。

目次

まず確認|命に関わる発作のサインと、起きた時の応急

発作が長く続いたり繰り返したりする場合、脳に影響が及ぶ可能性があるとされています。次のサインがそろうときは、夜間でもすぐ救急へご相談を。

老犬の発作は、若い犬と違うことが多い

同じ「てんかん発作」でも、若い犬と老犬では背景にある原因の傾向が違います。シニア期の発作は、脳の病気が隠れていることがあるため、初めての発作なら検査をしっかり受ける価値があります

観点若い犬(〜5歳ごろまで)老犬(8歳以上)
主なタイプ特発性てんかん(原因不明)が多いとされる症候性てんかん(背景に病気がある)が多くなる
背景にあるもの遺伝・体質と考えられることが多い脳腫瘍・脳梗塞・肝臓や腎臓の病気・低血糖など
最初の検査血液検査などで他の原因を除外血液検査に加え、MRIなどでの精査を勧められることが多い
対応抗てんかん薬で発作をコントロール背景の病気の治療+発作のコントロール

発作の前兆(落ち着かない・隠れる・そわそわ)

発作の前に、いつもと違う行動が出る子がいます。前兆に気づけると、安全な場所に移したり、心の準備ができたりします。

  • そわそわして落ち着かない:家の中をうろうろする・座っても立ち上がる
  • 隠れる・ついてくる:いつもと違う場所に隠れる/ご家族の足元から離れない
  • よだれが増える・口をクチャクチャさせる
  • 吠える・鳴く:理由が分からないタイミングで
  • 嘔吐・ふらつき・トイレに行く
  • 遠くを見るような目をする

長く付き合う|薬とコントロールのこと

てんかん発作は、多くの場合「完全に治す」ことではなく、「発作の回数と強さをコントロールする」ことが治療のゴールになります。長く付き合っていく前提で、薬と暮らしを整えていきます。

抗てんかん薬は、発作のしきい値を上げて、起こりにくくする薬です。完全に発作をゼロにできるとは限りませんが、回数が減り、強さも穏やかになることで、その子もご家族も日常を取り戻していくことができます。

似ているが、違うもの(パニック発作・認知症・心臓)

発作のように見えても、てんかん発作ではないものがあります。対応が違うので、見分けがつくと診察での伝え方が変わります。

  • パニック発作・不安発作:意識ははっきりしている/声をかけると反応する/落ち着かせると治まる。雷・花火・留守番などのストレスがきっかけのことが多い
  • 認知症の徘徊・夜鳴き:意識はあり、家の中をぐるぐる回る・吠え続ける。発作のような硬直や失禁は通常ない
  • 心臓発作(失神):突然倒れる・短時間で意識が戻る/興奮や運動がきっかけのことが多い
  • 低血糖発作:糖分を与えると治まることがある/空腹時・薬の影響でも起こる
  • ミオクロニー発作(局所発作):体の一部だけがピクッと動く軽い発作。意識は保たれることが多い

寿命・これからのこと

「てんかんと診断されて、もう寿命なのか」と検索された方も、いらっしゃるかもしれません。ここから先は、その方に向けて、静かにお伝えします。

てんかんと診断されたからといって、それが即「寿命に直結するもの」ではありません。薬で発作がコントロールできれば、その子なりの寿命を穏やかに全うできるケースは多くあります。一方で、老犬の発作は背景に脳腫瘍や脳梗塞などの病気があることもあり、その場合は背景の病気の状態によって予後が変わってきます。

「平均で何年」「何歳まで」のような数字は、その子の体・原因・治療の効きかたによって大きく違います。ネットで見かける統計の数字は、目の前のその子に当てはまるとは限りません。獣医師に「これからの見通しを教えてください」と聞いていただくのが、いちばん確かです。聞きづらければ、その言い方のままで大丈夫です。

受診の伝え方(動画・時間記録)

発作は診察室では止まっていることがほとんどです。家での様子を動画と短い記録で持って行くと、診察が大きく前に進みます。MRIなどの検査をするかどうかの判断にも、家の情報は欠かせません。

  • 動画:発作中の全身が映るもの。10〜30秒×1〜2本。光のある場所で。
  • 始まった時間/続いた時間:時計で計った数字を残す(体感より長く感じやすい)
  • 頻度:1日に何回・前回はいつか・1週間で何回
  • 前兆や治まったあとの様子:そわそわ・隠れる/治まった後のぼんやり・歩きかた
  • 意識・反応:声をかけて反応したか/失禁の有無
  • 飲んでいる薬:抗てんかん薬を含め、すべて
  • 食事・水分の様子:発作後の食欲・水分

よくある疑問

発作は、何分続いたら救急ですか?
目安として「1回の発作が5分以上止まらない」「意識が戻る前に次が来る」「24時間以内に何度も起こる」のいずれかが当てはまるなら、重積発作の可能性があり救急です。脳のダメージが進む前に動物病院へ連絡してください。体感では発作の時間は長く感じやすいので、必ず時計で計ってください。
高齢で初めての発作です。何科のどんな検査が必要ですか?
シニア期に入ってから初めての発作は、脳腫瘍や脳梗塞など、脳そのものの病気が隠れているサインのことがあります。まずはかかりつけで血液検査や一般検査を受け、必要に応じて神経科や画像検査(MRIなど)のある二次診療を紹介してもらう流れが一般的です。背景が分かるほど、できる治療の選択肢が広がります。
抗てんかん薬は、一生飲み続けないといけませんか?
多くの場合、長期にわたって続けていく前提で薬を選びます。発作の様子が落ち着いてきたら、獣医師が血液検査の結果を見ながら少しずつ調整することもあります。一方で、急に独断でやめると、もとより強い発作が起こる危険があります。「やめたい」「減らしたい」と感じたら、まずかかりつけに相談してください。
薬の副作用が気になります。どうすればいいですか?
気になる変化(眠気・ふらつき・食欲の変化・元気のなさなど)があれば、メモして次の診察で必ず伝えてください。薬の種類を変える・量を調整するなど、選択肢があります。定期的な血液検査で肝臓の状態を見守るのも大切です。不安を抱えたまま自己判断するより、相談したほうが結果的に楽になることがほとんどです。
てんかんと診断されました。寿命は短くなりますか?
てんかんと診断されたこと自体が、即「寿命の短さ」を意味するわけではありません。薬で発作がコントロールできれば、その子なりの寿命を穏やかに全うできるケースは多くあります。背景に病気がある場合は、その病気の状態によって見通しが変わってきます。「平均」の数字より、診察している獣医師から直接「これからの見通し」を聞いてもらうのが、いちばん確かです。
パニック発作とてんかん発作は、どう違いますか?
てんかん発作は、意識が一時的に失われ、全身が硬直したり手足がガクガクしたりすることが多く、声をかけても反応しません。パニック発作(不安発作)は、意識ははっきりしていて、声をかけると反応し、落ち着かせるとおさまることが多いです。雷や花火、留守番などのきっかけがあるならパニック発作寄りです。動画を撮って、診察で見立ててもらうのが確実です。
発作中、舌を噛まないように口に手を入れたほうがいいですか?
口に手を入れないでください。発作中の犬は意識がないため、噛む力をコントロールできず、ご家族が深く咬まれて怪我をする危険があります。犬が自分の舌を噛んで命に関わるような事態は、ほぼ起こりません。手を出さず、周囲の危険物を遠ざけて、時間を計り、動画を撮ることに集中してください。
留守中に発作が起きたら、どうしたらいいですか?
完全に防ぐのは難しいですが、リスクを減らす工夫はできます。発作で家具にぶつからないように寝床のまわりを片付けておく/滑りにくい床にする/落下のある段差を塞ぐなど。発作の頻度が高い時期は、見守りカメラを設置すると、頻度・時間・治まり方の情報を残せます。獣医師と「発作日記」を続けると、留守中も含めた治療の組み立てに役立ちます。

参考・出典

  • 本記事は、複数の獣医師監修記事および動物病院の一般情報を参照して作成しています。情報は変わっていく可能性があるため、特定のURLは掲載していません。
  • 具体的な症状・治療・薬の判断は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

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